うつの治し方 -私はこんなふうにして回復しつつあります。-


速い!急展開の買い替えドラマ(その2)

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さて、バイクをひきとってもらったその翌日も雨だった。
すっかり乗り替えモードの私は、雨にもかかわらず市内のあるバイク店に車でむかった。
そこは以前に一度だけたずねたことがある、スズキとヤマハをあつかうお店だった。 ガンコではない、「昔のバイク屋のオヤジ」が経営している。
ブティック感覚のドリーム店とはちがい、庶民派。
ほっとするんだよね、こういうお店。
「こんにちは」
「いらっしゃい!」
魚屋のようなイキのいい声ででむかえてくれたのは、ああ、やっぱり、昔のバイク屋のオヤジだ。
真っ黒なのは日焼けなのか、飲みすぎなのか、タバコの吸いすぎなのか。オイルのしみのある青いツナギ。50代なかばだろう。
「きのう、バイクを売りました。つぎのバイクをさがしています」
私がいうと、オヤジは一目で私をホット客だと見やぶった。
そこではじめて私は、スカイウェイブの白をマジマジと見ることができた。
そのデカさと、白色と、デザインのマッチングはすばらしい!
物欲は一気にレッドゾーンへ。
フォルツァはこのときアタマから消しとんでしまった。
「どうですか、スカイウェイブMタイプ。マニュアルシフトで楽しめるよ」
オヤジの眼光のするどさに引きこまれる。
でも、値札を見ると、
「おっと、62万8千円」
おもわずのけぞった。定価が69万3千円だもんなあ。
視線を必死でそらし、
「ちょっとというか、はげしく予算オーバーです。ムリムリ」
ちょっといいですか、とフルモデルチェンジ前のCJ43AとCJ44Aにまたがらせてもらう。
垂直に起こしてみただけで、CJ43の軽さ、CJ44の重さがはっきりわかる。
それでも、バカ重いバルカンに慣れた体には大した問題だとは思えなかった。
CJ44Aでとりあえず見積もりを書いてもらったあと、思いきっていってみた。
「ずーずーしいとは思うんですけど、乗り出し55万円でなんとかおねがいできません?」
オヤジの顔がくもった。
ひるむ私。ちょっとでも怒らせたら、さぞこわいだろうな。
ところで、私は怖い顔にあこがれているところがある。自分のへなちょこな顔立ちにコンプレックスがおおありなのだ。
「うーん、東京ならそれで買えるかもしれないけど、ここらへんでは、ちょっとむりでしょう」
「なんとかなりませんか」
オヤジは腕をくみ、同時に脚をくみ、いった。
そして、何かひらめいたようで、眉を開いた。
「ウチの息子がね、東京のバイク屋ではたらいているから、きいてみるわ」
いうが早いか、電話をかけていた。行動が早い。何かとスローな私なんかはこんなところまでうらやましく思ってしまう。
「お客さんきててねえ。いい値段で出せるスカイウェイブのタイプS、白、あるう?…そうそう。うん、みてくれるかな」
たのもしい、大きな声だ。
「うん、そうか、うん、そうだな…」
オヤジさんは電話にむかって交渉中。
ドキドキしてきた。
ふくみのある間がおとずれた。
私は電話をかけている社長さんに、ここで思いもかけないひとことをかけてしまった。
「OKなら、いま、即決しますよっ」
おっとー。
本気か、自分?
私の声を片耳で受けて、社長は横目で私の目を見、また電話にむかって、
「即決するってよ。お客さん、いってるよ…うん、そう。そうそう。じゃ、来週な」
むきなおった社長さんは、
「ただし、ヘッドライト一個のほうだよ」
念をおした。私は最初からそのつもりなので、
「はい。ありがとうございます。無理いってすみません」
「いやいや、ありがとうございます。じゃ、注文書作りますんで」
店に入ってから、20分くらいのことだったと思う。こんなにあっさり決めるのもどうかと思う。
社長さんは緑色の罫線の注文書に書きこもうとちょっと首をひねったが、支払額の欄に、○○0,000とだけ書いた。もちろんPCではなく、手書きだ。
「のこりはあとで数字を合わせておくから。住所氏名をおねがいします」
私はこれに感動した。
この、昔からのバイク屋らしい、ドンブリ勘定!
バイク屋はこーじゃなくちゃ!
私がニコニコしながら書いていると、
「毎週1回、東京にいくんだよ。そのとき積んでくっからさ」
「すみませんねえ、お手数おかけしまして」
いろいろ用事があるのだろう。長年、こうして地方と東京を行き来したりして、地方のバイク屋として、必死でがんばっていまにいたるのだろう。
そして息子はオヤジの背中を見て育ち、いまや東京のバイク屋で修行中か。
バイク1台売り買いするにしても、それなりのドラマがあるのだった。
「来週、木曜日には納車できますよ」
あくまで社長は明るくいった。
「あ、いえ…。登録は4月2日以降におねがいします。税金の関係で」
ごぞんじのように、4月1日の所有者に自動車税はかかってくる。たった1400円のことだが。
社長とは対照的に、あくまでセコい私だった。

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コメント(0) | トラックバック(0) | 2008年04月29日 11:16

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