タイプSとの最後のショートツーリング。背景は春の阿武隈川流域前の記事のようなぐあいで、シビアにも11ヶ月で13500キロも走ってしまったタイプS。
気にいらないところなんて、ほとんどありません。
かんたんにいっていまえば、パワーモードやマニュアル変速が試したくなったのが理由です。
私は、あのオヤジさんのバイク屋にふらりとたちより、なんとなくあらためてタイプMを見た。なんとなく、ハンドルの左側手元に目がいった。
タイプSのスッキリした操作系とちがって、Mにはオレンジ、ブルー、イエロー、グレーと、色とりどりのボタンがぎっしり。
うるさいくらいたくさんあるボタンをポチポチさわっていると、何かしらむくむくとわきあがるこの気持ち。
男性なら、かなり多くの人が経験あると思う。
ボタンや調整つまみのようなものがたくさんあったほうが、機械はエライというような。
ガンダムとか、メカメカしいものに意味もなくココロひかれるような。
で、このパワーモードって、どうなのよ?と気になった。
私がひそかに尊敬している、例のバイク屋のオヤジとちょこちょこしゃべっているあいだに、
福島県相馬市松川浦漁港。タイプS「ハイオク入れてからかなりよくなったんだけど、やっぱりキツい上り坂はニガテですね」
てなことをいったところ、
「Mだといいよ。パワーモードがつくと、ぜんぜんちがうよ」
ときた。
「でも、高いしね」
「安くなったから、ほれ」
どうせ60万円こえているだろうから、と視界にも入れなかった値札には、意外な数字が。
発売当時の値引き後価格よりも○万円も安い!
「んんー?!」
「こいつはいまお買い得だよ、まちがいなく」
「…いやあ、去年買ったばかりだし…でも、下取りしていただけるとしたら、どんなもんなんでしょう」
ごく興味本位でたずねてみた。
「じゃあ、見せてくれる?」
あいかわらずのフットワークの軽さで、青ツナギの社長さんはお店の外に出ていってしまった。
5分もたたずに、風のようにもどってきた。そういえば、キーさえあずけていない。
「何キロ走った?」
「13000台です」
「なるほど。下取りはどれくらい、お望みですか?」
おおーっ、去年と同じ急展開。
「いえー、そのー」
煮えきらない返事をしながら頭をかきかき、ざっと計算してみた。
「きっとまた、ズーズーしい数字だと思われるし…いいにくいなあ」
オヤジはひるまない。前むきだ。契約書に目を落として、
「いってみてください。できるならできる、できるならできない、と私もはっきりいいますから」
ふつう、実車の程度(右側に一回、痛恨の立ちゴケのあとあり)とか、難点を指摘されるものだが、何もふれない。じつに男らしい。
「じゃあ、○○万…円…かな」
「なるほど、○○万円ですね。さあ、あとは、追い金がいくらか、という話ですが」
とつづけ、契約書にその数字だけを書いた。
なんとなく、かなり、好条件だ、と思う。
いかん、いかん。
去年の急展開についてはまったく後悔していないどころか、感謝しているけれど、もう少し考えたほうがいいのでは?
ひとしきりうなってみたが、
「では、少し考えさせてください。またきます」
「そうだよね。大蔵大臣との相談もあるでしょうしね。オレももうちょっとだったらがんばれるからさ。だけど、あと2万はムリね。これになっちゃうからさ」
と腹をかっさばくマネをしてガハハハと笑った。
オヤジはそういうが、私はじつはバツイチの独身だ。財務大臣は不在で、両親と暮らしている。そこまでは話したことはないのです。
「ありがとうございました。またよろしくおねがいします」
「よろしく、ご検討のほどを!」
おたがいにふかぶかと頭をさげて、別れたのだった。「なんでわざわざタイプSからタイプMへ?(その2)」へつづく。
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