前の記事のように今回もセコく買ったスカイウェイブの納車は08年3月10日。
4月みたいな陽気のなか、タイプMをひきとりに、タイプSでむかう。
その2日前にソロで、かるくお別れツーリングをやった。写真もたくさんとった。感謝をこめて、ていねいに乗った。
洗車して間もないので、じゅうぶんきれいなまま、スカイウェイブを届けることができた。
右側に立ちゴケしたことがあるが、左側からみるかぎり、完全無キズ。
黒いプラスチック地肌に「アーマオール」を塗ってみがいてあるので、イヤミのない光沢が出て、うっかりすると納車時よりこっちのほうが新車っぽい。
いろいろ試してみたけれど、私は「アーマオール」におちついている。いかにも「塗ってます」にならないところがエラい。化粧でいうならナチュラル・メイクだ。私が知るかぎり、20年以上のロングセラーだ。
塗装部分の洗車にも一家言あるのだが、ながーく語ってしまいそうなので、別記事にします。
さて、イケメン店員君から書類やキーをうけとる。
「とくに説明は…いりませんね」
「ハハハ、たしかに!」
少しだけ中身が異なるものの、同じ機種への乗りかえは、27年間のバイク人生ではじめてだということにそのときやっと気づいた。
浮気性な自分がはずかしい。
用意されたタイプM君は、あたりまえだがパッと見同じ。
エンブレムと左グリップまわりがちがうだけ。
初期型タイプSとの細部のちがいに、私はそのときぜんぜん気づかなかった。
「とにかくガマンの慣らしですね」
新車を前に、私はちょっとゆううつだった。ピークパワーふきんの楽しさを知っているからこその気分だ。
「最近はぜんぜん慣らししない人もいますけど」
メッキシリンダーの時代なので、以前ほど必要ではないらしい。
私は頭をかいて、
「古い人間ですから、やらないとちょっと不安になるんですよね」
「ええ、じっさい、長いあいだ乗っていると、あとあとになってから影響がでてくるっていうのはあります」
「なるほど」
やっぱりガマンだ。パワーモードも封印。
イケメン君の見送りをうけ、道路にでる。あと3時間ほどで仕事にいかなくてはならないが、軽く走ってみることにした。
5000回転くらいを上限にそろそろと片側3車線の幹線道路を走りだすと、私の感想は、
「同じだ」
まったくおんなじ。
タイプSにくらべて、10キロ増の重量は、感じられない。
低回転では、スルスルというよりも、ククククと加速していく。あまりに感覚的な表現で申しわけない。
ためしにきっちり5000回転で巡航すると、速度は80キロを少し切るくらい。
トラックのうしろについて信号まちしたとき、ピカピカ銀メッキの荷台に自分の姿がうつり、
「ああ、ダブルヘッドライトだ。Mの新車なんだ」
としみじみ思った。
最初の行く先はJA共済の支所だ。
車両入れ替えの手続きをしないと。
任意保険の更新の時期でもあるし、ちょうどいい。
支所はいちおうコンクリートだが、平屋である。のほほんとした空気を、建物のたたずまいからもう感じてしまうのは、私だけだろうか。
同年代と思われる職員が応対してくれる。客の応対にはいちおう標準語を使うようにしているようだが、
「ええと、印鑑さもってきてる?」
ほら、東北弁のシッポが見えた。
職員どうしとか、なじみの客相手の電話だと、これはもう「んだべ」「んだすぺよ」「べよ」「けろ」などの語尾がうずまいて、パワーモードどころか、まったりモード全開である。
白状すると、こういうのが好きで、15年前、ここにUターンしてきたのだ。
方言といえば、思い出すのははなれて暮らしていた祖父の筋金入りの東北弁だ。
「@:?+&*○□?」「うーん。それは『ちゃんとネコにごはんをあげたか』ということでしょうか?」
「@:?+&でえ、*○□というてんだっちゃ」「うーん、うーん。おばちゃん、たのむ」
東北弁の基礎が身についているはずなのに、どうしても叔母の通訳が必要なのだった。
「きょうはおそくなったから、寿司でもとるか、っていってんのよ」
いっそ英語でしゃべってくれたほうが通じるくらいなのだった。
任意保険は、たった8500円だった。
粗品として、手のひらに緑のすべりどめゴムがついた軍手をもらった。まさに実用志向だ。それはここ数年かわらない。東京のJAでもそうなのかな。
私はそのあと50キロほどのお気に入りの「お散歩コース」をスカイウェイブで走り、
「まったくもって同じだ」
と再確認したのであった。「ここが変わった!」につづく。
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